2015-01-01から1年間の記事一覧

衝動コレクション

「衝動的な行動」と専門職が評価した場合、何か「衝動的」と言われただけで分かったような気になるかもしれないが、衝動的になるのは結果であって、その要因は様々である。1)生理的欲求・・あれが欲しい、今すぐ手にいれないともう手に入らないかもしれな…

環境と負荷

最近「年をとったなあ」としみじみ思ったことがある。こうして人は老いていくのだと。 体力や筋力の衰え・・疲れがとれないことや「あれ、なんだったけ?」という経験は、本人が自覚できることであり、まあ、そんなもんかと、思える。 ここ数年、毎週末に個…

貧困と時間

NHK甲府放送局の山岳カメラマン米山悟氏がNHKのエコチャンネルのブログで、「昔の人は、なぜ不便な山村に暮らしていたのか?」という記事を執筆されている。ちょっと前によく言われていた限界集落という視点ではなく、「山村は生き延びることができるところ…

ジュースと人権

買い物を頼まれる。いつも同じ物をそろえ、いつも同じ物を食べ、そして同じ日常を送りたい人がいる。しかし、今はそれもなかなか許してくれない。気に入った物を買い続けたいと思っても商品の開発競争は激しく、定番商品にならなければあっという間になくな…

産業化(その3)社会福祉の光と影

手元に福祉業界のメジャーな業界紙「月刊福祉」(全社協)がある。2015年6月号の特集記事は社会福祉基礎構造改革から15年ー社会福祉の光と影、であり、厚生省の在職当時に社会福祉基礎構造改革を推し進めたという、日本で一番大きな社会福祉法人の理…

アルコールに依存する(その3)

そもそもアルコールは、合法的な薬物だからどんなに飲んでも、成人であれば問題にはならない。飲むことで、社会生活がうまくいかなくなったり、体を壊したり、アルコールを常に飲まないといられなくなる場合にはじめて問題になる。悩みや心配ごとがあって、…

アルコールに依存する(その2)

アルコール依存症の人は、なにかを忘れるために酒に走ることが多い。が、ある日出会った人は、お酒を飲むと頭の回転が速くなり、感覚が鋭くなると言っていた。自分はお酒を飲めば目をつぶって車が運転できると言う。どこに障害物があって、どこに他の車があ…

アルコールに依存する

まだ駆け出しの頃、お願いして精神病院(今は精神科病院と言います)に実習にいかせてもらったことがある。資格のためや、キャリアのためではなく、地域で仕事をするためには、病院の中を知らなければと思ったからだ。幸い、若造には過分な配慮をしてもらい…

俺をなんとかしてくれ。

「お金がない」「仕事がうまくいかない」「人間関係で悩んでいる」といった様々なことが相談に寄せられる。そのなかに、時折「この自分をなんとかしてくれ」という相談が混じっている。 「苦しくて何をしたらいいのかわからない」という相談と同じようだが、…

他の人もいますから・・

人に迷惑をかける、もっと言えば、自分がごねていることも気づかずにごねられたり、こちらの時間をまったく気にせずに延々と話をされたり、もしくは他の人に手を出してしまうような行動障害、行為障害の人など、対応が難しい人に対して言ってしまいがちなの…

その子らしく・・

幼稚園の頃、羽田空港に遠足に行った。そして帰ってきてから、みんなで空港の絵を描いた。ジャンボジェットの大きさや空港の大きさに子供ながらに感動したのだろう。当時の自分は用意された1枚の四つ切り画用紙では足りず、先生にお願いして4枚使って、の…

知らないことを知る

とても有名な言葉に、「無知の知」がある。かっこいい言い方をすれば「知らない自分を知れ」とでもなるのだろうか。相談の場面では、少し意味合いが異なってくる。自分の目の前に現れた人をどうも理解できない、どうもしっくりこないと感じた時に、いや、人…

産業化(その2)

産業化は、生産力の向上を目指す。「誰でも」「確実に」「同じ」物をだ。 社会保障改革は、限られた対象を福祉の対象者とするのではなく、全ての国民にリスクがあるのだから、福祉事業をサービスとして位置づけたことだ。介護保険制度は、高齢化社会を向かえ…

記録 記憶 物語 そして孤独

福祉や医療には記録が必要不可欠とされている。福祉ではケース記録や日報、医療ではカルテ、そしてどのような仕事でも様々な台帳の整備を求められる。 実務的に言えば、記録は仕事の報酬を得るための成果物である。福祉や医療は、農業や工業などとは違い、製…

産業化 その1

近現代の歴史において、イギリスで起こった産業革命は、今の経済社会を形成すると共に、近代の社会保障・社会福祉を形成した。産業化は、それまでの職人の手仕事による零細な生産力から、機械と労働集約による飛躍的な生産能力の拡大をもたらした。農地を拡…

はじまり・・

思い描く仕事の話。 自分が障害者福祉の仕事を始めたのは1994年(平成6年)。今は2015年(平成27年)。すでに20年という日が過ぎた。行政が責任を持って措置する制度から、利用者が自由にサービスを利用できる制度を目指すという明確な目標があった時代から…